完全対称パワーアンプ(C1116A)
完全対称アンプは人気があるらしく、手軽に組める基板セットの頒布がありました。今回のアンプは、その基板を使って組んだものです。終段トランジスタはC1116A(サンケン)です。
音質についてはさておき、アンプとしての基本的な動作に目を向けてみました。測定に使ったオシロは常用品(手軽に測定する場合)のTek2440です。オシレーターは普通のパルス発信器(菊水のシンセサイザ−)で、当然ながらアンプに入力される波形は綺麗な矩形波です。スルーレートは500V/μSを超えています。
完全対称パワーアンプ(C1116A)のスルーレート測定(無負荷)
完全対称パワーアンプのSR(スルーレート)は、無負荷で測定していますし、かつ、本来であれば、90%に整定する時間を測定しなければなりませんので、オーバーシュートやリンギングがあると不利になるはずですが、それについては度外視して最もよい数値として測定しています。精度を上げるために256回のアベレージングを行っています。
それでも...と思われるような数値(38.5V/μS)でしかないのは、完全なPUSH−PULLになっていないからでしょう。
この程度のSRしかないということになると、振幅の大きいパルス成分はSRで制限されてしまって、もはや、出力に現れないことを意味します。半導体のパワーアンプとしてはよろしくない傾向と言えるでしょう。
完全対称パワーアンプ(C1116A)の10Kz矩形波応答(無負荷)
SRの測定では拡大した波形で全体が見えませんしたが、10KHzの矩形波応答はこの通りです。オーバーシュートはさほど目立ちませんが、はっきり見てとれるリンギングがのっています。
さらにきつい補正をしてやれはリンギングもある程度取れるのかもしれませんが、これ以上応答を悪くするわけにもゆきませんし...なかなか難しいところです。
それから、よーく見ると、波形が非対称になっているように思われますが...気のせいでしょうかね?