続々登場!今回はDAC供給用ルビジウムキット

この商品は以前レポートしたような気も致しますがオクに登場しましたので解説させていただきます。

内部写真を見せていただきましたがU電気さんに特注したトランスはいいとして(ここのトランスは当方でも使わせていただいいております。トランスはGOOD CHOICEではないでしょうか。)お決まりのようにトランスの真横にルビジウムです。お写真を拝見する限りにおいては磁束の漏れる方向にルビジウムっぽい気が致します。それからこのFEは某ベイ業者様から取り寄せてたそのままを使っておられるでしょう。あまりにそのままなんでおそらく知ってる方は「あれじゃん」とご指摘なさるでしょう。

本来FEには特別なバージョンを除いてSMAで周波数を出力するものではなくまた外部からRS232Cでコントロールするような仕様も確かなかったと思います。ですのでこれらは某ベイ業者様が改造したものでございます。中をあけてみたこともありますが内部で基板とD-SUBの端子の間をカットして本来の信号ではないTX RXをD-SUB端子側に接続しています。

あるいは将来は10MHzの固定のものになるという但書はDDSが内蔵された高級機が手にはいらなくなるかあまりに高価になった場合には当該品に切り替えるの意味でしょう。すでにDDS内蔵品は某国でも品薄で仕切り価格が上がっており某ベイ業者様からの供給も途絶える可能性があるのは確かです。10MHz固定品は安価でたくさん出回っていますが買わない方が良いと云っておきましょう。

RS232C経由で周波数での周波数切替はこちらのブログでもご紹介致しましたように某電子様が開発されたソフトではないかと思います。ただし当方はちゃんとライセンス料はお支払いしていることを申し上げておきます。その後某電子様からはキット製品などを購入したことから当方としてはライセンスフリーな状態にはなっておりますが。

このキットで問題になるのは周波数精度でしょう。RS232では理論的に正しい周波数のバイナリ値を書込ことができますがだからといって相応する周波数が寸分の狂いもなく出力されるわけではありません。詳細については省略致しますがDDSの設定分解能そしてトリマの存在も忘れてはいけないと思います。また出力アンプを積むのであれば高品位なものでないと波形歪みの原因になりかねないでしょう。

それからD式電源についてですが私は一切試したことがありませんのでわかりませんしルビジウムのように一定の負荷で連続稼働するものについて恩恵があるのかどうかもわかりません。パワーアンプのようにズドンとくる場合には御利益があるのは確かだとは思いますが。トランスの定格はAC2Aのようですが当該ルビジウムは定常負荷でDC1A程度流れますし電源投入時はDC2A流れますのであまり余裕のある設計ではないようです(U電気さんのトランスは優秀ですが定格の問題)。ドロッパ式を組むなら基準電圧や素子のノイズあるいは回路の安定性などか問題になるでしょうし全体的に余裕のある設計が望ましいとは思われます。一時的にレギュレーターが効かなくなる設計などはご愛嬌といったところでしょう(あまり害はなでしょうけれど)。...整流はD式でもレギュレーターは3端子なの?というところでしょうね。専用に電源を設計したとの記述はなさそうですし取り付けられているヒートシンクも小さいようです。

トランス式電源で無視できないのがダイオードのノイズを含めた整流ノイズです。ルビジウムの電源としてトランス式なら何でもノイズが少ないと思うのは早計かと。トロイダルトランスとショットキーダイオードと3端子レギュレーターを使った電源ではルビジウムの出力に50Hzの整数倍の高調波が乗っている例もありました。ドロッパ式電源では通常(整流回路にもよるが)結構なピーク電流を必要とするのでダイオードを含めた整流ノイズがルビジウムに影響を及ぼす可能性があります。整流ダイオードルビジウムの近接配置も結構気になるところですが、D式電源の場合はダイオードにかかる電流が半分になるというのでればそれは良いことでしょう。

なので単にトランスのドロッパ式にすれば良いという考え方は素人オーディオとしてはいかがなものかと思います。特別に配慮した電源であればそれはよいと思いますが位相雑音への影響が小さくオーディオ的にも良いとされるドロッパ式電源を開発するのは楽な話ではないと思います。PhaseTechでさえ小さい筐体にドロッパ電源を入れ込むのは無理と判断したのか(ルビジウムは起動時2-3A電流が必要)70万円の商品にスイッチング電源を採用しているように見えますし、トランスの漏洩磁束やうなりにしても近接配置した場合には特にFEなどの薄い鉄板のルビでは問題になる可能性もあるでしょう。

最後にWORD CLOCK出力回路ですがおそらくPLLは使用しておらず分周回路ではないかと思います。見るからにTTLゲートの出力をそのまま使っているようなのでいちおうは矩形波が出ているという程度でしょう。なのでWORD CLOCKを真面目に使おうと思っておられる方には?ではないかと思います。10MHzをもらってきて他のジェネレーターを使った方が結果は良さそうであるという気もします。

このキットの2つ目のご愛嬌はWORD CLOCKの出力をバッファリングしていないために各周波数を1つしか出力できないところでしょう。強いて申し上げるならば44.1Kと88.2Kの2周波を同時に負荷に接続したら矩形波の立ち上がりがなまってしまうことも予測されます。おそらくは波形の立ち上がりや振幅についてもDon't Careということなんでしょう。

総じて、全体的なコンストラクションの問題、周波数精度確保の問題(出荷時の調整確度も不明)、あるいはTTLクロックの生成方法とバッファリングの問題等、あくまで素人オーディオの見立てではありますが、製品としとしてのレベルは...でしょうね。キットということでDIPのICを使っていることも性能に影響しているかもしれません。高速広帯域のデジタル回路ではDIPでは性能が出ないこともあります。

しかし...最近はルビジウム解説員みたいなことになっていますね。
このような情報はあくまで素人オーディオのたわごとで、意図するところは、超初心者の方への解説です。
素人オーディオ以上に素人な方々のために解説をしているつもでございます。

もちろんD式電源とかP社のトランスの類を手放しで喜んでしまうのはどうなんでしょうかということでもありますが。そういうものはオーディオのハニートラップみたいなものかもしれないということですね。

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但し書きでございます
このブログはあくまで素人が好き勝手に書ていることであって(このブログの趣旨をご参照ください)内容の真偽に関するご判断はお読みになった方それぞれにお任せ致します。あるいは当方が取り上げている商品等をお持ちである方がお読みになられた場合にはあまり良い気分がしない場合もございましょうが、オーディオのように個人の物差しが千差万別という場合においては、商品の価値判断には唯一絶対的な尺度のみが存在するものではなく、ましてや他人の意見も必ずしもアテになるものではないとお考えいただきたく。

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