FD1841の代替品


シリコニクスのE400



クロスリファレンスでは2N5453と同等であるとのこと


最近の金田先生の記事には2N3954ファミリのDUAL FETが登場しなくなりました。どうしてもドリフトを小さく抑えたい場合には使わざるを得ないと思いますが、ドリフトに関して緩くて構わない場合(特にパワーアンプ)にはシングルチップのFETが使用されているようです。

特にパワーアンプでは、初段に片側1mA以上流す設計になっていて、IDSSが2mA以上あるものを使う必要があるはすですが、IDSS1.8mA以上を選別したソリトロンのFD1840/1は入手困難で、仕方なく採用を見送っているのかと邪推できなくもありません。もちろん初段でゲインを稼ぐために中〜高GmのFETを使うという理由もあるでしょうが、ぶっちゃけ、似たような低GmのK30Aを使うのはおもしろくないからなんでしょうね。

2N3954(A)を買ってみればわかりますが、IDSSが2mAを超えるものは存在確率が低く、あるいは抜かれているのではないかと思うくらいです。FD1840(1)ではほぼすべての個体が2mAを超えていますから圧倒的に効率が良いと言えましょう。もちろんこちらで所有している3954(A)については、FD1841が併売されていた時期のものですから、2mAを超えるものが抜かれているバッチがあってもおかしくないと思われますが。

ということで、FD1841が注文できるならベストだと思いますが、代理店のミニマムオーダーは結構きつかもしれませんし、この機会に手元にある駄石が使いものになるかどうか試してみるのもまた一興かと。こじつけな成り行きですが、かつての3954の対抗馬、シリコニクスE400を検討してみたわけです。

インターシルのクロスリファレンスにはE400は2N5453と同等であると記載されています。3954ファミリーと5452ファミリーはともに低周波差動アンプ用となっていますし特性もほぼ同等ですが、3954ファミリーより若干IGSSがやや小さいのが5452ファミリーのようです。3954Aと5452の直流特性は同等で、3954と5453の温度ドリフト特性は同等です(規格上オフセットは5453の方が多い)。しかるにE400は言い換えればややオフセットの多い2N3954と言っても悪くはないのでしょう。

実はこのE400は300個くらい購入して|VGS1−VGS2|が小さいものを選別したもので、オフセットに関してはおそらく3954(A)のレベルではないかと思います。この石はモノリシックなので、音的にはよろしくないでしょうが、ドリフトに関しては有利です。一般的に、オフセットが小さいものはドリフトも小さくなる傾向にあるはずですので、選別を行ったわけです(温度ドリフトを測定するのは容易ではありませんから)。実際、IDSSは3mAを超えるものがたくさんありましたしパワーアンプにも十分使えるレベルかと思います。

秋葉のジャンク屋の店頭に並んでいたE400は100個で幾らしたかは忘れましたが、少なくとも1個1500円とかはしていないので、音的に良いのであれば、めっけものなんですが、シリコニクスはやっぱ駄目なんでしょうかねえ...2N5465の場合はシリコニクス指定みたいなこともありましたが、3954の場合はシリコニクスは駄目って言われてますよねえ。

ということで、次回パワーアンプを組んだときには、必ずやテストしてその結果をお示できればと思っています。気分としてはダメ元ですけれどね。

追記1:このほかにインターシルIMF3958なる3954の選別漏れっぽい石もあります。ただしモノリシック。

追記2:関係ないけどE400をあさっていたら覚えのないJ72とか2N5465とかK43なんかを発見した。