LH0032の測定(選別)

以前は、2N3954A/FD1841を初段に使った利得20dbのフラットアンプを常用していたものですが、LH0032に切り替えてから、ディスクリートのラインアンプは実機には搭載していません。FD1841はディスクリートパワーアンプ用に全数振り分けることができたのでとても助かっています。

実は、現在使っているLH0032アンプではDCオフセットを調整しておりません。何個か買ったうちの良いものを選んで使えば、そこそこ問題ないレベルに収まるからです。LH0032はビデオ帯域用のオペアンプなのでDCオフセットやドリフトは2の次で設計されているはずですが、消費電流が大きく自分自身が恒温槽の役割を果たしているため、入力段のバイアス電流は大きくなるものの、ウオームアップ後のドリフトは意外に小さく済むのです(ただし空気の流れのない気密的環境にあること)。

もしできるものなら、オフセットの調整はしない方がよいので(場合によっては温度ドリフトを増加させることになる)、DCオフセット(ウオームアップ時)と温度ドリフトをあらかじめ測定しておくことが有効になると思われます。

素人オーディオの選別方法はこんな感じです。デジボルは2台使います。

1 電源投入数秒以内に1台のデジボルでオフセット電圧をキャンセルして0mVにしておく
2 1分間通電し2台目のデジボルで絶対DCオフセット値を読み、1台目のデジボルでDCオフセット値の相対差(キャンセル0してある方のデジボル)を読む。
3 絶対値および相対差の小さいものを良品とし、とくに相対差(温度ドリフト)の大きいものは使わない。
4 絶対値が小さいものはDCオフセット調整を不要とし、大きいものは仕方なく調整して使う。

DCオフセットの相対差を温度差で割ったものが温度ドリフトになるわけですが、さすがに放射温度計で電源投入時と1分後の温度までは測定していないので正確には求められていません。ですが時間で区切っているのでだいたい同じ条件になっていて、おおまかに良し悪しは比較可能かと思います。1分というのはもう少し長くてもよさそうなものですが、これ以上長いと測定に時間がかかり過ぎて大変かと。

この選別方法はとても厳しいので、ウオームアップ後のDCオフセット値が入力換算で2mV以内に収まるものは、経験上、30%以内ではないかと思います。さらに温度ドリフトの小さいものを選ぶと、もっと良品の確率は小さくなります。


NG品(使ってはいけないもの)だってこんなにたくさんあります(笑)


NGにした理由
DCオフセットが規格を大きく外れて大きい オフセットドリフトが他のものに比べて明らかに大きい 
ノイズ電圧(バイアス電流)が他のものに比べて明らかに大きい

これらはNG品はすべてNSの製品ですが、ごくまれに入力段が半殺し状態?と思われるようなバイアス電流だかノイズだかの大きな個体もありました。保存状態が悪いのが、ロットが悪いのかはわかりませんが...しかしながら少数ですがDC特性の優れた個体があるのも事実です。なお、ノイズのばらつきを測定するには、測定回路のゲインを上げて、シールドケースなどに入れなければなりませんが、そこまではやっていません。おそらくずば抜けて良いものはないので不良をはじくやり方にしています。
暇があれば、ひずみ率の測定をやってみたいと思っています。10KHzで−80dbを切らないものは不良にするとか(笑)あんまり意味ないですよね。あるいはオープンループゲインを測定した方がおもしろいかもしれません。