Antelope OCX


お借りしていきなり測定です

本日午前便にてアンテロープとG03Xが届きました。
まずはご協力いただいた某老舗オーディオ店T様には感謝申し上げます。たいした客じゃないのに購入しばりなしで無償貸与してくれましたから。

ちなみにG03Xはジュラルミンボックス入りで開けるのが大変なので、とりあえずアンテロープからいきます。

で、端子に50ΩのBNCターミネーターかまし、アクティブプローブを使って波形を見てみましたがなかなか綺麗ですね。立ち上がり時間も思ったより速いみたいです。

回路がどうなってるかは開けてすぐにわかりました。アンテロープではバッファが1段多いようですが、それ以外の素子のセレクションは素人オーディオの実験とまったく同じといっていいでしょう。素人オーディオはアンラーニングで作っていることはブログの記事を読んでいただいても明らかなので、パクリでないことはおわかりいただけますよね(笑)。

原発は20MHzのOCXOで44.1K/48K系列のクロックを発生するPLLはモジュール化されてわからないようになっています。基板のシルクにはウルトラロージッタータイミングモジュールとの記載があります。カウンターの基準出力からZ3801Aの基準周波数をもらってきてアンテロープの入力端子に接続してみましたが、問題なく外部クロックとして認識され、勝手に回路が切り替わりました。周波数確度が一気に高くなるので切り替えているのは明らかにわかります。OCXOの周波数確度は全然たいしたことなく、0.1ppmも達成できていません。なお、オーブンの製造は2006年36週のようですから3年くらいは経過していることを申し添えます。

さて問題はジッターレベルですが、おそらくPLLを使っているはずで単なる分周よりは多いはずなのですが、リファレンスを何度かつないだり外したりしていて、ジッターがルビジウムの1/2くらいのレベルに計測される場合、あるいは、ルビジウムの2倍以上に計測される場合があります。何がしかの不確定要素(おそらくPLLのせいでしょうね)があり、値が変動しているのでしょう。しかしながら値が急激に変動しているというものではありませんし、Z3801AのTIはモニターしていますがもちろん大幅な変化はありません。

今回の試行ではカンターの計測値はく出来たルビジウムと同じくらいのレベルに落ち着きましたが、カウンターとアンテロープには同じリファレンスを使っているので、当然ながら外部のルビジウムを使う分周方式より測定条件は甘いです。付加されるジッタとしては、分周方式の方がより小さいことは伺えると思います。

短時間のテストでしたが、11.2869MHzルビジウム+分周方式は、アンテロープに十分対抗し得るスペックであることが確認できました。おそらくはジッターレベルにおいては、PLLを使ったアンテロープに劣るということはないでしょう。ただし、実装技術とか細かい部分の詰めという部分では、時間をかけてきちんとデザインされたものにはかなわないのは当然で、特にクロックのノイズにそれがが反映していると思います。まぁノイズといっても、立ち上がってから乗ってくるノイズですから、受け側が TTL Level Positive Edge Trigger なら問題にはならないと割り切ってはいます。

それから、アンテロープの出力を53132Aを50Ω負荷で測定すると異様にジッタレベルが高くなるという現象に当たっています。従ってカウンターのところで50Ωの終端抵抗をつなぎ、入力は1MΩにして測定しています。53132Aはダイナミック50Ω?負荷?だったりするんでしょうかね。50Ω固定抵抗で終端すれば問題なくなりますが、アンテロープのバッファにも問題がないわけじゃないようです。

アンテロープはPLLの出来具合が良いらしく、外部基準を使った場合のジッタレベルは非常に優秀と云うことができると思います。内蔵している電源はしょぼい感じのスイッチング電源ですし、基板や使用部品、ケースやパネルなども実物はまあ結構しょぼいので、高級志向の方にはおすすめできないですが、値段次第では悪くはない選択になるかと思います。ただし、内蔵OCXOを使った場合はルビジウムの150倍から200倍くらいのジッタレベルで周波数精度も0.5ppmくらいしかありません(よくこれでプロ用などどいえたものですよね)。外部からルビジウムの基準周波数を入れてやらない限りはクロックの精度(ジッタ)はかえって悪くなる可能性もあります。

アンテロープの場合、外部入力は一旦トランスで受けています。しかるに適正な信号レベルがどれくらいなのかはよく調べてみないと何とも云えません。