活動休止ではありません

最近はブログの書き込みはしておりませんが、皆様のご期待通り?の活動を続けております。活動自体は休止ではありません(笑)ただここには書き込めない内容ばかりだということです。もちろん時間がないということもありますが。

ちょこっとだけ最近の活動の感想を申し上げるならば、無理してでもスペアナを買っておいてよかったなというところです。信号純度の評価にはまずもって必要になるからです。もちろん最新鋭機ではありませんがアジレントのE44xやそれよりちょっといいくらいの新型よりはずっとまともで(低SSBノイズ, 管面ダイナミックレンジ120db)この手の実験には大変役に立ちました。

ということで、皆さんが大好き?な 22.5792MHzの正弦波です

ルビジウム(約100MHz)を原発としてDDSで合成した正弦波(100MSPS, 14bit) スパン100KHz 2Vpp/50Ω


ルビジウム(約100MHz)を原発としてDDSで合成した正弦波(100MSPS, 14bit) スパン10MHz 2Vpp/50Ω
ということで10MHzの広帯域で観測しても明らかなスプリアスらしきものは発見できません。
ちなみにスプリアスカッター(逆相打消)は使っていません。スパンをもっと広げると見えてくるのはハーモニクス(高調波)ですが問題のない範囲に押さえ込んでいるとは思います。50Ω負荷で2Vppということはアンプ側では100Ω負荷4Vppになる訳でかなり厳しい条件であることは確かです。しかも周波数は25MHZ付近ですから信号純度の高い正弦波を出力するハードルも高くなります。それでも超高速OP-AMPを並列で使うみたいなことまではしなくていいと思いますし、超高速OP-AMPは必ずしも低ひずみではありません。


安定度の高いGPS(Z3801A, 10MHz)を原発としてアジレント33250Aで合成した正弦波(200MSPS, 12bit) 2Vpp/50Ω

33250Aは10MHzを基準として(内部で20逓倍し200MHzに変換してから)正弦波を合成しているので多量の位相雑音が発生していることがわかります。200MSPSで22MHzを出力しているためローパスフィルタが完全であれば十分信号純度の高い正弦波が得られるずですが原発が10Mzなのが問題なのでしょう。
一方、周波数の高いルビジウムの信号をダイレクトにDDSに入力し14bit分解能のDDSで合成した正弦波は明らかに位相雑音の発生が少ないことがわかります。

33250Aの信号を使ってワードクロックを作ってみると重く抑揚のない感じになってしまいます。信号純度があまりよろしくないようでオーディオには向かない信号源のようです。スプリアスはある程度許容されるとは思いますが33250A程度になるとよろしくないようです。


オーディオ用のクロックソースに対する要求は、ある意味非常に厳しいと言えると思います。中途半端なものではあまり意味がないということです。

最近、22.5792MHzを供給できる機種が登場していますが、低ジッタのPLLを使っているにせよ、原発より高い周波数にロックするようであれば位相雑音的には良くないでしょう。素人オーディオ的には内蔵しているPRS-10も好きではないので、PRS-10を採用している時点で魅力を感じないですね。だいいち、10MHzを基準にするのであれば、その機能をCDP側に内蔵してやればいいことで、75Ωのラインでわざわざ外部供給する必要性はないと思います。ルビジウムは10MHzが一般的であって、22.5792MHzを直接出力できる機種も市販品では見当たらないという点においては優位性はあるでしょけれど、単に出力できるだけであってたいしたメリットもないのかもしれません。

G01/G02では、恐らくは、ずっと前に当方が実験していた整数分の1の分周方式を採用している模様で、エソテリックさんとしてもG0RbやG03Xを超えるためには当該方式を採用せざるを得ないと思ったのでしょう。当方では基板等を製作してとっくに実用化していましたので、G01/G02はある意味アマチュアブロガーのマネ的になってしまったと云えなくもないでしょう!
さらに、上記の通り、エソテリックさんのG01/G02の上をゆくものをリリースしつつあり(笑)痛快に思う次第でございます。次回は簡単にはマネ的はものは作れないでしょう。コストの壁は大きいと思うので。

http://d.hatena.ne.jp/LH0032/20091011#p1


DDSさえ使えばスプリアスのない綺麗な正弦波が出力できるという訳ではありません。位相雑音の出方はチップによっても大きく違いますし、DACの分解能も14bitか16bitは必要でしょう。また、周波数を正確に設定したいのであれば設定分解能32bitでは若干不足です。DDSの内部動作周波数を上げる場合は、駆動信号を内部もしくは外部のPLLで逓倍することになりますが、数逓倍しただけでも位相雑音は確実に悪化するようです(4倍しただけでも20db近く悪化する)。

ちなみにですが...最初のチャートでよさげな信号を出せているDDSが乗った基板ですが...DDSチップはやコントローラーのチップは手半田不可の部品を使っているので...実装屋さんに出さなければなりません...性能を重視するとこうなってしまうのです...そう簡単なお話ではなくそれなりにハードルは高いです。


ルビジウムクロックを使っても水晶発振を使っても質感(音質)的には何ら変化がないし、聞き比べても差がわからないと主張する方もおられると思います。そのような方にとっては、高性能なDDSを使った信号だろうが33250Aを使った信号だろうかどちらも何ら変わらないで終わってしまうと思います。
もちろん、そのような意見を否定するわけではありませんが、少なくともこちらで使っているCDP(DR-1)で実験する限りにおいては純度の高いワードクロックを使ったときの質感の変化は決して無視できるとは思えませんし、ルビジウムワードクロックが使えるようになってから、デジタルオーディオ(CD)はずいぶん良くなった(楽しめるようになった)という意見を述べる方も少なくはありません。オーディオマニアではない友人にブラインドで聞いてもらったことがありますが、DR-1の内蔵クロックと、ルビジウムワードクロックの差は簡単にわかると云っておられましたし、これだけの差があるならお金を出して買いたいという人も居るだろうとコメントしておられました。
差がない、あるいは差がわからないということになる理由ですが、多くの場合SPシステムに問題があるのではないかと推察致します。SPシステムの反応が悪いと「差がわからない」ということになる可能性が高いです(当方が所有する何種類かのSPシステムを使って実験しております)。そもそも、信号純度の高いワードクロックを出力できる製品は世の中にはほとんどないので、正しい比較?すらできていないとも云えそうです。

ちなみにですが、信号源の評価には周波数ドメインの評価とタイムドメインの評価がありますが、タイムドメインの評価は見方が二通りあるように思われます。周波数標準(時計)として使う場合は長期安定度を問題にするでしょうが、オーディオの場合にはごく短期の周波数安定度を問題にしている(少なくとも素人オーディオとしてはそうです)からです。一般には前者の方を周波数安定度と称することが多いようですが、オーデオマニア的には時計を作るためにルビジウムを求めている訳はないと思いますので、とくに断りなき場合素人オーディオでは後者(強いて云うならtau=1sec付近もしくはそれり小さいtauでの周波数安定度)を指すものとご理解ください。