組み込み用サンダーボルト


安価に出回っていますが実力のほどは?

組み込み用のサンダーボルトはGPSDOとしてはおそらく最も安い部類に含まれるのではないかと思います。海外での価格は電源セットでもだいたい150ドル(1個買ったとしてですが)くらいなのでZ380xシリーズの半額以下です。見た目的にはまともなOCXOを積んでいるようには思えませんが果たしてどれくらいの性能があるのか試してみたくなりました(ということなのですが実はこの本体はお借りしたもので素人オーディオが購入したものではありません。Z3801Aと同じ箱入りのサンダーボルトは購入したものですが)。

まずですがアンテナの端子はFコネなので通常使っているNPからFに変換しなくてはなりませんでした(秋月でダイレクトに変換できるコネクタを入手)。あとは電源ですが付属していたので問題ありませんでしたが、本体にDC/DCコンバーターは内蔵していないようでアナログ系の±電源も外付けです。専用電源がないことには面倒なことになりそうな代物です。

とりあえずいつも使っているアンテナ(ちゃんと屋上に立ててあるまとも?なやつ)を割り当てて実験ですが、安定するまでには30分もかからないくらいでその点ではなかなか優秀です。逆に考えればHP系のシステムのようにVCXOを微妙に調整するようなルーチンはないのかもしれないということですが。

6時間から8時間放置して十分に安定しているところでZ3801Aをリファレンスとして簡易的にジッター測定してみましたが...ジッタレベルがそこそこ良さげなときもありますが、値は安定せず、良さげな値の何倍にも達することがありました。平均値でみた場合の周波数精度は確かに悪くはないようですが、ジッタレベルやその変動からして、1mHzの確度を保証するのは難しいのではないかと思われます。

比較対象としてルビジウムを用意しておきましたが、ルビジウムのジッタレベルは変動も小さく安定しているように見えました。もちろんジッタの値自体はサンダーボルトの良いときと同じかちょっと劣るくらいなので、さすがは原子時計というところでしょうか。組み込み用サンダー君程度の性能であればルビジウムで通常達成し得る範囲でしょう。

適当に実験しただけなので真偽の程に自信があるわけではありませんが、組み込み用のサンダー君は、とくにジッタレベルにおいて、適正に調整されたルビジウムを超えるとは考えにくく、確かに周波数の調整が不要という点では利点はありますが、測定用のリファレンスとしては不向きであると思われました。ながーい周期で平均値を取る分には問題が少ない...のかもしれませんけれど。


追記1
近日中にMTI OCXOを積んだZ3805Aが入荷する予定なので届き次第テストしてみたいと思います。HP DUAL OVENのZ3805Aを探してもらいましたが、残念ながら見つからなかったということでした。仕方なくMTIで我慢です。MTIはZ3816Aで試していますが、あまりよさげではなかったような気もします。10MHzを出力するのに5MHzのOCXOを使うというよくわからない構成であることも問題なのかもですね。