ルビジウム基板


やり過ぎだと怒られてしまうかもしれませんが特別にルビジウムの内部を公開致しましょう。
この機種に関しては実機の内部が公開されるのは国内では初めて?かもしれませんね。

確かに部品の製造年月は比較的新しいようでランプの寿命残りも長いことが想定されます。ですがシールを切らずに外部から簡単に調整できてしまうので周波数のオフセットを基にしてどれくらい使われていたかを推測することは難しいと思います。保証期間が2年程度であることはルビジウムの場合致し方ないようなので(これでもセシウムよりは長い)いずれにせよ現役を退いた個体であることには違いはないようです。これが重要なのですが、従って、中古として放出されたものの多くはGPSセシウムなどを使って周波数を調整(校正)しない限りはアテにならないということです。たとえばEFRATOMなどは比較的長い期間使用されてきているので、調整(校正)して使うことが前提になるでしょう。
それから単にロックした(BITE=0)ことを確認したというだけでは何の保証にもなりません。ロックしても全然めちゃくちゃな周波数を出力しているものもありますし周波数が振動しまくって収束しないものもあります。
怖いルビジウムのお話...みたいな感じになったかもしれませんが現実はそうなんですよね。

ちなみに周波数の調整の方法ですが、周波数は常に変動しているので、1つの時点で調整をかけたとしてもそれが正しいかどうかはわかりません。1mHz以下を合わせ込むのであれば、十分にウオームアップしてから祖調整・微調整の順で行い、最後はGPSの周波数が安定しているところでなるべく周波数分解能を上げて統計値を取る方法になるかと思います。

単純に1mHz以下の確度に合わせ込むことはまず無理だと思います。ミクロ的に見ればルビジウムの周波数は常に変動しているので、確度の高い調整をすればする程、MEAN±SDなどという統計値で表すこと以外は無理ではないかと思うからです。たとえばプラスマイナス0.3mHzを保証するなら、仮に平均値が±0.00mHzで動かないとしても、標準偏差は概ね0.15mHz以内でなくてはなりません。従って、ルビジウムの代表的なジッター特性から考えて、かなり実現が難しいレベルと云って良いと思います。実際には平均値も変動するのでさらに難しくなることは容易に想像できます。

ですのでそのような確度の高い調整を行うこと自体、ルビジウムの性能限界からして難しいことだと理解すべきでしょう。
通常、1〜2mHz程度に合わせ込むことができれば上出来だと思って差し支えないと思います。もしそれ以上やりたいならちゃんと筐体に組み込んで周囲環境なども考慮しながら時間をかけて調整することになるでしょうし、そのようなことを実現すること自体にあまり意味がない(ほかの方法で確度を実現した方がよい)と思う次第でございます。