3次歪ってそんなに多いの?

差動入力ADC用の入力アンプ (OPA627を4個使用)


10KHz正弦波をA/D変換したときのスペクトルを取ると3次歪がやたらに多く出ているので理由を調べたくなりました。
OP-AMPの3次歪なのかADCの3次歪なのかどっちの問題なんでしょうか?

まずは犯人扱いされていたNE5532を使って非反転2倍の歪率を測定してみましたが、特に3次歪が多いという結果にはなりませんでした。3rd HDも-120db程度に抑えられています。

次に差動入力ADCの前段アンプの歪率を測定してみましたが、これについても特に3次歪が多いという結果にはなりませんでした。

差動入力ADCの場合H/Lともに中点電位はADCの基準電圧の半分の電圧になるはずで、従ってOP-AMPを2個使った差動ドライブ回路になることが多いようですが、増幅自体は反転で通常接地する非反転入力端子に中点電圧を加えるという方式が多いようです(データーブックなどによく載っている回路)。

この差動ドライブ回路の歪みが多いなら話は簡単でしたが...そういうわけでもないようです。となると犯人はADCではないかという方向に逆戻りしてしまいますね...でもたぶんADCで歪みが発生しているんでしょうね。



ということでかなり面倒でしたがTIの最新鋭ADCを192KSで使用してみました。
ADCによって歪みの傾向が異なるようで、AK4620Bで目立っていた3次歪は見事に-100db以下のレベルに落ちています。特筆されるべきはノイズフロアが非常に低いことですが...その代わり4次5次歪のレベルが高いことがわかります。