J72とJ74


Gm/IDSS(J72)

Gm/ID(J72)

Gm/IDSS(J74)

Gm/ID(J74)

すでに製造中止となっている東芝のJ72とJ74ですが、J72が極めて入手難であるため代替としてJ74を使用することもあり得るでしょう。両者の大きな違いはPD(ドレイン損失:600mW・400mW)Gm(相互コンダクタンス:40mS・22mS)Ciss(入力容量:185p・105p)ではないでしょうか。おそらくはJ72の方がダイの面積が大きく、もにょもにょとした入り組んだパターンが描かれているのでしょう。ありし頃には「お化けGmFET」と賞(称)されていたように記憶しております。

ちなみにわれらK先生のファンからすると、名作と云われている「オールFETパワーアンプ」などで使用することを想定すると思いますが、その場合、IDSS=10mAがひとつの条件になりましょう。J72ではBLランク(−8〜−16mA)J74ではおそらくVランク(−10〜−20mA)が必要になるはずです。J74のBLランクは(−6〜−12mA)なので若干きついでしょう。

J72とJ74のIDSS10mAでGmを比較してみると、カタログスペックではあたかも倍近く開きがあるように書かれているのですが、J72が63mS程度、J74が50mS程度で、さほど大きな差はないということがわかります。しかしながら、J74はIDSSの最大値が20mAなので63mS以上はあり得ません。J72は30mAまで存在するようで、そのときのGmは95mSです。

実際にはID=5〜6mAで使用されるのでそのときのGmはJ72がおおよそ50mS程度でJ74では35mS程度になります。ということで、代替品のJ74でも、Vランクを使えばJ72に匹敵する(J72の70%)Gmが得られることがわかりました。Cissに関して云えば、J74はJ72よりずっと少ないので有利に働くでしょう。2段目差動アンプのゲイン優先ならJ72ですが高域特性優先ならJ74でしょうね。

秋葉でもJ74Vを探すのは大変でしたが...素人オーディオは昨年の11月頃に100本くらいゲットしていました。IDSSは測定していないので分布はわかりませんが、もし−10〜−20mAにフロードに分布していると選別が大変で、100本あってもたいしてペアがとれないかもしれません。代替品を使うとたいてい何かしら面倒なことが起こるものですけれどね(苦笑)。


おまけ!エキシコンの極間容量(代表値) メタキャン K176/J56相当品