NPNメタキャンテスト回路


完全対称NPNメタキャンテスト回路


この基板ですが、回路的には指定通りに製作した完全対称型ラインアンプです。ご覧の通り、使用部品もほぼオリジナルを踏襲しています。初段は2N3954Aで、キャンのオペアンプみたいなのがインターシルのIT136です(PNP DUAL TR)。IT136のHFEはA726Gより低めですが、モノリシックだけあってマッチングは非常に良いと思います。自分ではオールメタキャンにしたつもりでしたが、初段の定電流に1個だけC1400を使っているので、オールではなかったです。JRCとか松下とかのキャンTRに変えてもいいのですがC1400の方が無難でしょう。

テスト回路というからには、どっかの石をとっかえひっかえするわけですが、この板ではありがちなソケットを使ってファイナルの石を交換できるようにしています。ソケットの質はぜんぜんよくないですが、テストになればよいということでお許しください。

まずはC959とC959をモールドにしたというD415を比較しましたが、D415は確かにモヤモヤした音で、やっぱりメタキャンはいいなと思わせます(D415は足が太いのでソケットに半田付)。

メタキャンが良さそうであることを確認できたので、メタキャンをさらにとっかひっかえやりました。テキサスの金メッキの古い石、最近製造されて100円くらいで手に入るトムソンの石、その他海外製を含めテストしてみましたが、部分的に良い面はあったとしても、使いたいと思うような石にはなかなか当たらなかったです。

C959はどうかといえば、素人オーディオの個人的な印象ですが、ファイナルに使うには若干Cobが多いように思います。電流を流せばある程度は小さくはなるでしょうが、元々Cobの小さい石に交換するとがらっと音が変わります。Cobの小さい石は普通に明るい音ですが、それにくらべてC959はやや暗く鈍いのです。低音のドーンという音が鳴ったらそのまま戻ってこない鈍さといいましょうか...ちゃんと止まらない音と言いましょうか...イメージとしてはそんなところです。

1WクラスのメタキャンでCobの少ないものはたくさんありますが、C959以上に耐圧があって(パワーアンプのカスコードカレントミラーに使えない耐圧の低い石はいらないです)そこそこ電流がとれるものというとこれまた限られてきますね。

あまりにもC959ばかりがもてはやされて、海外の在庫まで食いつくされてまっているので...これからやってみようという人はつまらないじゃないですか...もちろん素人オーディオは自分の使う分くらいはC959もありますけれど...せめて石くらいはなんか探してきてやってみたいですよね。

追記:このテスト回路は、パワーアンプのカスコードカレントミラーに使うPC1Wクラスのメタキャン石を発掘するのが目的で、完全対称のファイナルを探すのが目的ではありません(素人オーディオは完全対称を実機には搭載しておりません)。ちなみに発掘された石は何度か登場していますが、小信号Trに匹敵する高ft低Cobかつ高耐圧であるこをと申し添えます。その代わり電流は数100mA程度しか取れませんがカレントミラーやドライバーに使うのであれば十分です。