広帯域オシロ導入の件

個人で購入する計測器機器にはおおその限度があると思います。持っているといろいろ使えるにしても1000万円のオシロやスペアナを買うことはまれでしょう。オーディオ用に個人でHP5071Aの新品を購入したケースはあるようですがそれでも300万前後で買えた時代の話で最近は購入例など聞いたことがありません。

今回のお品(Agilent DSO 80000B)は発売当時の定価は6GHz帯域の場合オプションなしで900万近いですが既に販売中止でサポートは継続中だが近々に打ち切られる可能性大というものです。さすがに何世代も前の機械を買うのは安くても気が引けますが近日中に修理不能になるということでは80000Bも同じになる運命でしょう。サポート終了の際にはTDS3000シリーズの例に見るように企業やレンタル会社がこぞって放出してくる現象がみられるかもしれません。

さて本品の現行での相当機種は90000Aシリーズになりますが90000Aの場合は6GHzと8GHzでサンプリング周波数が20Gsと40Gsに区分されており6GHz以下の機種の場合は仮に帯域はあったとしてもサンプリング周波数でリミットが来るように設定されているようです。80000Bの場合には2GHz-13GHzの全機種が40Gsなので現行機種に比べるとその点は有利です。8GHz以上の機種などは元々1000万を超えるため滅多にお目にかかれないでしょうし6GHzとて程度の良いものを安価で見つけるのは困難でしょう。2GHzとか4GHzなら時々みかけますが4GHzとか6GHzに帯域拡張したら100万円では済まないです。
90000Aは80000B同様にWINDOWS XP搭載でプローブも80000Bと同じものが推奨されておりスペックを見ても80000Bと大差ないようです。さすがに容積は90000Aの方がずっと小さくなっていますがPCの進歩によるものが大きいでしょう。ということで程度の良いものが手にはいるなら80000Bも悪い選択ではないということになりましょうか。CPUの処理速度に関しては90000Aの方がずっと良いのでそれは仕方ないですが90000Aの6GHzより80000Bの6GHzの方が実質の性能が上というのは意外でした。サンプリング周波数20Gsと40Gsの違いは小さくはないでしょう。ジッタ解析などを行った場合にで大きく差が出る可能性があります。


以下、導入時にはおきまりのバックアップ処理です。ここでも古いAcronisが活躍しています。現行ソフトの場合はサポートしているチップセットが最近のものになるので逆にまともに動作しない可能性もあると思います。ハードの世代に合ったソフトが安心です。

当方で所有しているスペアナもWINDOWS XPべースで購入時にはシステムのバックアップを取ることになりましたがオシロの場合もそれに漏れずということです。システムを飛ばしたら修理するのにいくら取られるかわからないしHDDはいつか壊れるに決まっています。WINDOWSベースの機械を買ったらまずバックアップでしょうね。


ちなみに校正済品ということなので校正結果をチェックしてみましたが帯域チェックでは6GHzでは-3dbにはなっていないようでオプションの帯域拡張がなされているかあるいは余裕をもたせてあるかの?よくわかりませんが規格値以上の実力となっているのは明かなようです。6GHzから8GHzの帯域拡張は140万とか?だったと思いますのでラッキーと言わざるを得ないです。サンプリングは40Gsで上位機種と同じですから帯域拡張はそのまま性能アップにつながります。

帯域が6GHzの場合には100pSのライズタイムを3%の精度で測定可能ですが帯域がもっとあれば100pSを切る場合でも対応できそうです。今後はジッタ解析のソフトウエアなども導入を検討したいと思います。オプションはメモリ拡張だけだったのでライセンスを買わないといけないかもしれません(ライセンス25万円です。すでにアジレントさんから試用ライセンスを頂きました。)。


100pSなんてライズタイムなんて滅多にお目にかかれません。現状50Ωで負荷しているので高速ロジックの出力でもこの程度かと。7GHz帯域の差動プローブが入荷すれば100pSもありかもしれません(差動プローブだって中古で20万くらいしちゃいますけど)。



WINDOWS XP のサポートが終了する直前に導入でしたがシステムのアップデートは問題なく終了できました。測定機器ゆえネットにつながなきゃ別に問題ないし感染したらバックアップをリストアしてやればいいだけのことです。XPで十分だと思います。

ジッタ解析に関してはAgilent経由でデモ用のコードを発行してもらって使うことができました。最近ではオフライン解析ソフトというのも存在しているようですがレポートの作成やデーターの共有という面では良いとしても、ジッタ解析など最大のサンプリングレートで取得した大量のデーターを統計処理する場合にはデーターを吐き出してあとから解析などいちいちやってられないです。

とまあいろいろ頑張って導入してみましたがこのオシロとて2005年とか2006年発売の製品であって最新の技術レベルという訳ではないです。ただバードの性能的には90000Aシリーズは現行品のの割にはしょぼいといえばしょぼいので(X/Qシリーズは確かに凄いですけれど)激安特価の80000Bは十分に美味しいかもというお話ですかね。90000Aは単にPCの性能をアップしただけだろみたいな...しかも6GHz以下は20GSに落としてるし...そんなんじゃ買いたくないわみたいな(笑)6GHzだったら900万以上しちゃいますからね。ジッタ解析と差動プローブ1本つけたら1000万円也!!