EVについて雑感ですが

EVが最も普及しているのはおそらく日本なんでしょうけれど、それはおそらく1回の充電での走行距離との関係が深く、狭い日本に向いているということがあるのかもしれません。1回の充電で100キロくらい走ることができれば大都市圏ではそこそこ実用にはなるでしょう。それでもせいぜい累計3万台を超えるくらいなので現状は普及などほど遠いというレベルです。
最近はやっと充電設備も増え始めてきていて、東京・神奈川ではさほど充電には困らない程度にはなってきましたが、たとえば千葉などは関東とは云えども充電設備がほとんどないのでEVを買っても実用にならならず、あるいは東北道などはまったく充電設備がないので高速道路から降りて充電しなければなりません。まあこのような状況なのでEVを買っているのは東京・神奈川に在住の方がほとんどであると云えるのかもしれません。

車両価格は24KW/hの電池を装備した日産のリーフは最高グレードで400万円程度で補助金が78万円出るなら300万円ちょっとです。大衆車の域を出ない金額なので遠出をしないという想定なら悪くはないでしょう。なぜなら、電気代はめちゃくちゃに安く1回の充電が200円くらいで120-150キロ走ることができるので(ちなみに現時点では高速道路を除いては急速充電でも無料のところは多いです)ガソリン車に比べればタダ同然です。さらにHV/PHVと違ってエンジンがないので車検および整備費用がほとんどかからないです。ブレーキパッドを交換する以外は何もすることがないに近いのですが減速は回生発電で行っているのでパッドもあんまり減らないでしょう。つまりはEVはディーラーが儲からない車ということになってしまいます。車検整備で稼ぐことができないからです。日産や三菱はEVに関してはさぞつらいことでしょう。そういうことなので自動車メーカーは爆発的に売れない限りはEVはやりたくないに決まっています。先陣を切った日産三菱連合にはEVのリーダーになるという気概を感じずにはいれられないです。

前述の通り大都市圏では充電設備もそこそこのレベルになってきたので、BMWが来春からの参入を表明しているようです。これまで国産の電気自動車のために整備してきた基盤にタダ乗りするということ、あるいはBMWは欧州では交流充電方式を採用しておきながら日本向けのEVにはChademo(直流充電方式)を採用するということもあり、日本の電気自動車連合(日産三菱)はおだやかではないかもしれません。三菱などは90万円もの大幅値下げで対抗するようです。日産はいまのところ静観というところでしょうか。

一方BMWの電気自動車の性能が良いかと言えば、実際はそうではないようです。車両価格が500万円であるにもかかわらず電池の容量は18KW/hですからリーフの75%しかありません。モーター誌には22KWと書かれていたのを見かけましたがBMWの公式発表は18.8KW/hです。総電力量18.8KW/hと書いているのは恐らく車載システム用のバッテリーを含んでいるためで駆動用電池の容量は18KW/hのはずです。電池を大判振る舞いしているリーフとは対照的で日本とドイツのリチウム電池の生産技術の差が出ている部分かもしれません。モーターの出力に関してはBMWは125KWでリーフは80KWということで明かにリーフが劣りますが軸トルクはどちらも250Nmでまったく同じです(実際には若干リーフの方が軸トルクは大きいし初代リーフは希土類をふんだんに使ったモーターで300Nm近いトルクがあった)。なので加速の差は車重の差ということになり車体を軽くすれば加速が良くなるのは当然ということになります。しかしながら一気に加速すればそれだけ消費電力は大きくなり、また、馬力があるからといってピードを出せば消費電力は空気抵抗の増大とともに加速度的に大きくなり、みるみる電池を消耗することになるでしょう。なのでBMWは最高速度を150km/hに制限しているらしいです。詰まるところ、実用性とは相反するけれど車体が小さく軽く加速がいいですみたいな車にするしかなかったとも言えるでしょうか。リーフは4人がそこそこゆったり乗れるしラゲッジもそれなりに広いのですがBMWはリーフに比べて45センチも全長が短いのでそうはいかないでしょう。タイヤにしてもリーフは215/50でスポーツセダン並ですがBMWは155/70で小型のHVに近い感じです。車重はBMWは1260キロでリーフは1460キロですからBMWの車重はリーフの86%になりますが電池は75%なので同じだけ走れるはずがないということにはなるでしょう。

ということで、EVの量産車に関してはいまのところは日産三菱連合が有利ということにはなるでしょうか。もちろん2台目の遊び車ということではBMWの方がおもしろそうですが、何に使えるかと言えばどうなんだろうということなりかねないかと。

ちなみにEVの先にはFCVがあるようですがFCVは電気分解で製造した水素を使うことになりエネルギー源は電力であることに変わりはありません。電力を電池にダイレクトに蓄えて放電するか水素に変換して燃料電池で電力に戻すかだけの差だということになります。FCVは効率が悪いので元の電力の無駄使いする代わりに充電時間や航続距離の問題を解決するお金のかかった贅沢車という位置づけになるでしょう。庶民はとりあえず安いEVに乗れということでしょうね(笑)。FCVが出る頃にはEVでも1回の充電で実質300キロくらい走れる車種も登場していることでしょうし価格や電力の利用率の点では明らかにEVが有利なので展開が楽しみです。FCVの問題点はやはりインフラ整備ということになるかもしれません。水素ステーションがビジネスとして成功するのは一体何年後なんでしょうか?

追記
最近FCVが走行している映像をTVで見ましたが、まるで水を撒いて走っているような勢いで配水管から水を流していたのには驚きました。もし将来多数のFCVが道を走るようになったら、雨でもないのに路面が水浸しで風向きによっては前を走っている車か放出された水がフロントグラスやボディにかかることもあるでしょうね。なので水は放出しないでタンクに貯めておくとかの配慮も必要で除湿器みたいに水捨て作業が必要になるのかも。あるいは酸素をそんなに多く消費して良いのかどうかって懸念もありそうです。目で追える範囲の走行で1molとか2mol(36mL)くらいの水はばらまいてましたがら大量に酸素(2molでは約45リットル)を消費しているでしょうね。内燃機関よりよっぽど酸素を消費しそうですがどうなんでしょう。

これについては電気分解するときにできる酸素を大気に戻していればまあいいのかなということになるでしょうか?酸素を発生しない方法で作られた水素が大量に出回るとどうなのかということにはなるでしょうけれど?大気中のバランスが崩れなければいいわけで。