アンテロープのルビジウム FE5660A

アンテロープ社のWEBカタログを見ていたら使っているルビジウムはスイス製の?FE5660Aであると書かれておりました。

何故に興味があったかと申しますとK-01のクロックソースとしてPRS-10を積んだHD-7RbよりFE5660Aを積んだアンテロープルビジウムの方が良いと噂されているからです。おそらくは秋葉界隈の某高級オーディオ店で比較試聴した結果がそうだったと云うことなんでしょうけれど...

そんなわけで、研究用にイスラエルから仕入れた5660Aがどっかにあったかなと思い調べてみましたら、あっさり出てきました。
ですが何故に放置されていたかと申しますと5660Aはミリタリー品ではないですし規格としては5680Aには劣る内容であるからに違いありません。

このお品は動作するかどうかもまったく不明ですが内部を見た限りではおそらく以下のように推察できます
1) FE5680Aの基板等を流用しPRS-10と同じ大きさのケースにビルトインした「廉価版」ルビジウム
2) 電源電圧を24VにするためにDC-DCコンバーターを内蔵している(24Vはオプション)

アンテロープのカタログにはスタンフォードPRS-10と同等との記載がありますが、おそらくこの製品でも24Vのオプション品を使っているのでしょう(12Vで動作させている?追記参照)。
FEIの24V動作品はあくまで他社製品との互換のために作られたもので内部の主電源は15Vです。たとえばFE5682AはLPRO互換品で24Vで動作しますが内部にDC-DCコンバターを内蔵しています。



これらのことから以下のようにまとめたいと思います。

1) 5660AがPRS-10より良いということは基本的にはPRS-10よりFE56xx系の方が良いと云っていることに等しい
2) 内部にDC-DCコンバーターを内蔵していない15V系のFEの方がオーディオ的には良い可能性が高い
3) FE5660Aが良いというならDC-DCコンバーターを内蔵せず5660Aよりさらに精度の高いFE5680Aはもっと良い可能性が高い

アンテロープとしてもFE5680Aは検討したのかもしれませんが、さすがにコストや納期の点で採用することはできなかったんでしょう。


蛇足ですがアンテロープの10MHzの内部はリダンダント電源らしいですがこの大きさではスイッチング電源ということになるでしょうね。スイッチング電源が悪いということではないですしトランスを積んだ電源の方が良いという根拠もないはずなので製品としてはリーズナブルではないかと思います。

デジタルであっても電源に関してはアナログ以上に敏感に音に影響することはCD-Rの実験からも確認できています。電源コードを取り替えただけでも聞き分けられる程の差が出ることがあるのでびっくりします。
デジタルなのに(アナログ信号を扱う部分はありません)おかしいじゃないか!(デジタルじゃなくてもおかしいかもしれませんが)と思うのが普通ですが実験するとそうなってしまうことがあるんですね。

なのでメーカーが測定器用に販売している電源付のルビジウムユニットがオーディオ的に良いかどうかは試してみなければわかりません。電源がオーディオ的に良いかどうかどうかと測定器として良いということは必ずしも一致しないと思えるからです。

アンテロープはスイッチング電源でもオーディオ的に良い電源を採用しているということなんでしょう。

追記:
FEI社のカタログによるとFE5660AはDDSを搭載した機種のようですし当方が所有しているものはDDSが内蔵されております。ですがアンテロープ社のカタログに記載された位相雑音特性などを考慮すると非DDS版である可能性も否定できません。
アンテロープ社のカタログによると内部の電源電圧は12Vとの記載もありますが5660Aの定格15Vを下回る12Vとしている理由がよくわかりません。DC12V仕様の5660Aを使用しているかわざわざ12Vで動作させているかのどちらかでしょう。動作しないことはないのかもしれませんが。

アンテロープ社のルビジウムは後段にアンプがあって自社のOCXやトリニティに信号を供給するため75Ω1Vppの振幅で出しています。そこが問題点で50Ωで受けると振幅はさらに減るため実用に耐えなくなる可能性もあると思います。ちなみにOCXはトランスで受けていますしおそらくトリニティもそうなんだと思います。なので1Vppでよいのです。ちなみにOCXのレシーバーは規格上5Vで動作するチップであると申し上げておきましょう。3.3Vでも動作しなくはないですが電源電圧まで測定していなかったのでわかりません。