高精度クロックソース(G−03X)の試聴


ワードクロック入力部

最近ルビジウムやOCXO(外気より郄い温度に設定されたオーブンにオシレーターを封入したもの)をワードクロックに使った場合、実際に音質が改善するものなのかどうか気になっています。

たとえば、OCXOを積んだエソテリックのG−03Xにしても30万円もするわけですから、冷静に考えれば、投資効果が郄いとは云えないはずですが、究極を求めようとするオトナの遊び的にはそそられるのではないかと...超高精度(絶対的な周波数確度とゆらぎの少なさ)クロックでD/Aをかければざぞ音が良いだろうと想像するものでしょう。

そこで、モヤモヤを解消するため、無理矢理オーディオショップTのご担当にお願いし、いつも使っているDR1にエソテリックのG−03Xを接続して試聴させてもらうことにしました。

G−03XからDR1に44.1Kのワードクロックを接続し、DR1の電源を入れ直せば外部クロックに同期します。DR1は44.1K以外は受け付けないので、たとえば、88.2Kを入力すると起動時にCLK ERRと表示して自動的に内部クロックに切り替わるようです。

まずは内部クロックですが、いつも聞いているDR1の印象とはかけ離れておらず、再生システムが違っても比較試聴はできそうであることが伺えました。そのあとG−03Xのクロックで聞いてみましたが、うーん...広がり感があるようには聞こえますが、何故か散漫で、DR1のカチッと決まる感じが薄れてしまっています。確かに音の傾向は変わるようですが、これが良くなったと云えるのかどうかです。

何度か切り替えて試聴しましたが、やはり最初の印象が払拭できる訳ではなく、DR1で聞き比べる限りにおいては、G−03Xのワードクロックを使うより、内蔵のワードクロックを使う方がDR1の特徴が良く出ていたということです。

DR1の内部クロックの精度はよくわかりませんが、さすがにG−03Xのように±0.1PPMのOCXOなどを使っているとは思えないので精度的にはG−03Xが上でしょう。ですので今回のケースは、75Ωの同軸ケーブルで高精度クロックをひっぱり回すより内蔵のクロックを使った方が良かったと解釈できなくもないでしょう。

いずれにせよ、高精度クロックに走りたければ、いきなり高価なG−03Xなどを購入することはやめて、まずはDクロックなどのモジュールを買って効果を確認してから検討することの方がコストパフォーマンス的にみても有利であると云えそうです。

あるいは、30万円投資しても、むしろ内蔵クロックの方が良いこともあり得るということで、手を出さない方が無難と考えるもありでしょう。

追記1:ワードクロックは5V振幅のいわゆるTTL信号らしい。
追記2:OCXOはとくに珍しいものではなく三田電波などでも製造している。ただし特注は確か5個からではなかったかな。