続・幻のトランジスタ


初期のA606/C959(ビンテージもの?)


幻となってしまったPC1Wのメタキャン(A606/C959)は、金田先生の昔の記事では、あまり使われることがなかったんですね実は。
パワーアンプのA級ドライバーや電源の制御Trに使われることはなく、プリアンプのファイナルはA726/C1400でしたからプリアンプはA606/C959を1個も使わなくても製作できました。もっぱらパワーアンプの2段目かA653がないときのドライバーの代用(B級出力段)でしかなかったハズです。

しかしその頃からA606/C959の代用品はないと考え、数を確保するのはもちろんですが、いろいろなロットを試し、どの時期のロットが一番良いか、実験しておられた先輩がおられます。その方は内部を壊さないようにTRのCANを開け、ペレットを目視や顕微鏡などで確認しておられたようです。その先輩が情報を提供してくださったお陰で、A606/C959に関しては、かなり古いロットから新しいロットまで確保することができました。中にはA606のA型(多く見かけるのはE型です)やC959のA以前のロットでリード線が長い物もあります。

ロットに関しては必ずしも古ければ古い程良いという訳ではないようですが、A606に関しては、A型とかC型の方がE型より良いそうですし、A型のまま継続しているC959に関しては、ある特定の製造時期のものが良いらしいです。素人オーディオはA606のF型は1個も持っていないのでどうなのかはわかりません。

ビンテージ?TRはまさに自己満足の世界で、ビンデージである必要性はおそらくないのかもしれませんが、石の内部構造とトーンの傾向の相関について実験した経験があれば、「このTRは構造的良いはずだし、やっぱりトーンもいい」などと実感しながら聞ける楽しさはあるのかもしれません。

まあこれらビンテージや生産後期品を含め「指定石」?と称するのでしょうが、最近は(ビンテージな)指定石よりも独自に選定した互換石を使いこなすことを考えています。
互換石は主にパワーアンプ用で、2段目のカスコードカレントミラーに最適なを石であって、本来電源などに使うことは目的とはしておりませんので、(たまたま良かったので、LH0032プリアンプのウォームアップ用AC電源のNN型レギュレーターにはたぶん使います)その意味では金田式の旧来の使い方に近いということになりましょうか。
電源の実験では、PN型よりNN型が良かったし、NPN TRであれば良さそうなものはいくらでもありそうですから、なにも特定の石にこだわる必要はなさそうですが、差動ペアの選別漏れなどを電源に割り当てることができるので、1種類で済むならば利用効率が良くなるというメリットはあります。

そういえば、互換石の実験について興味津々の方がおられ、試してみたくて仕方がないらしいことを耳にしましたが...
互換石はいくらでもあわけですし、どこかで良いという噂を耳にしたから試すのではなく、自ら目的をもって選定された互換石をお試しいただければよろしいのではなかと思います。