TADD1

どこぞより入手したTADD1なるGPS/Rubidiumの基準信号分配器を製作致しました。かなり長期間にわたり放置されてきましたがカウンターの台数も増えて来たので致し方なく製作することとなりました。

このシステムの特徴はトランスで受けたグランドフローティングな信号を初段のアンプでゲイン+2で増幅し後段はユニティゲインステイブルな高速OP-AMPを使って+1バッファで送り出しさらにトランスをかまして干渉を防ぐというところでしょうか。トータルとしては0dbの分配装置ということなろうかと思います。電源電圧は9Vなので(OP-AMPの定格は12V)低めに設定されているようです。

製作途中のイメージです(添付されてきた部品は機構部品とかトランス以外は使用していないです)手持ち部品を無理矢理取付!


最初はデフォルトの回路で製作致しましたが初段の回路の歪み方が半端じゃなくとても実用になるレベルではありませんでした。オシロで見ただけでも原波形と違っていることは明らかです。入力信号レベルを1.5Vppくらいに落としても歪みまくってましたから本当にこれでいいのだろうかと思ってしまいます(当方の作り方が悪いのかもしれませんが)。

いろいと試してみましたが改善しないので致し方なく初段も+1のバッファに変更したところまっとうに動作するようになりました(ただし2-6をジャンパで直結しないとダメです)。初段は6個のアンプをドライブしなければならないので+1の方が都合が良いですし、さらに都合が良いのは入力のバイアス電圧に関しても+1なので+2のように帰還回路に工夫しなくても問題ないということです。電源電圧の半分のバイアスを与えて+1でそのまま送り出しです。

という訳でトータルとしては-6dbの分配器になりましたがGPSの信号は1Vrmsくらいありますから(2.8Vpp)内部でその倍の振幅にして送り出すなどは電源電圧+9Vでは無理なお話ではないかと思います(Z3805Aなどは3Vpp以上ありますね)。少なくとも12Vから15Vの電源電圧が必要です。初段はゲイン+2で動作させてもよいですが入力電圧を1/2にしないと同じ条件で動作させることはできません。1/2して2倍するなどはあまり意味のない回路です(オーディオでは意味がある場合がありますが)。たとえばアンプが+2じゃないと安定動作しないなら仕方ないですが。似たような回路に...10MHzを逓倍してシンセサイザーでまた10MHz付近に合成などがありますが...5倍して5分周みたいな感じでしょうか...単にできるということで本質は良くならないですね。

文句多かったですが...自分で基板を設計してもいいのですが1台しか作らないのにやりたくないですよね。やるとすればSOPのOP-AMPを使いたいですから基板じゃないと無理ですけれど。

TADD1は手半田で組むよりはましでケースなどもちゃんとついているので問題のない全段+1構成で使うことと致します...だったらいくらなんでも歪むとかノイズが増えたとかそんなこともないでしょう。トランスの特性の悪さは若干心配ですが...最終的にはデフォルトの78M09を外しLM317に載せ替えて11.5Vに設定しました。

さすがに6系統あっても全部すぐに埋まってしまいました。恐ろしい大食らいです。しかも別系統にプレッシジョン測定用のリファレンスがあります。こちらはトランスを使ってないのでむやみやたらに分配できません...