シグナルアナライザ

最近、レンタル物件の放出などが減ってきているようで、去年のようによさげな物件満載状態ではありませんが、何気に高性能なアナライザが比較的安い値段で売られていることもあります。たいていは破損修理品だったりするのですが。

狙い目と言えばADVANTESTの高級?スペアナでしょうか。ADVANが計測器からの撤退を表明したので(中古やレンタル市場での暴落を防ぐためにスペアナ数機種は残してあるにしても)価格が下落しているのは事実です。

2003年から2004年にかけて発売され2007年で販売中止になった高級機はSPAN 20Hzの解析が可能で内部基準でも十分安定して測定できるのは驚きでした(ただしRBWは最高分解能1Hz)。片側10Hzの解析はB75オプション(パフォーマンスバンドル)を積んだAgilentの現行商品E440Xシリーズでも無理です。最高分解能のSPAN 100Hzにしても基本波の周波数が不安定になりでアベレージを取ると振幅がいい加減(実際より低く表示される)なのが問題です。

ルビジウムの位相雑音測定ということに関しては、500万円クラスの汎用シグナルアナライザでも歯が立たないことが多く、実際、格安で仕入れた専用アナライザを超えることも難しいと思えます。

格安専用アナライザ 10KHz オフセット -140dbc(実測)
高性能シグナルアナライザ 10KHz オフセット -120dbc(規格値)

格安で仕入れてもちゃんと使えてしまったアナライザがいかに凄いかということなんですが、オフセット1KHzでも-120dbcは達成可能です。もちろんローカルオシレーターの性能に左右されることは間違いありませんが、以前GPSの位相雑音を測定して実測値をお示したところではございます。

アジレントの1,000万超クラスの専用アナライザではおそらくは格安専用アナライザより20dbくらい良いはずですが、そんな機械を保有しているのは企業の研究所や高度な測定を要する製造ラインなどに限られるはずで、中古のルビジウムを1台1台測定するなどは現実的でないでしょう。もしそんなことに使ったら使用禁止令が引かれおんだされる可能性もあるかと(笑)。また、コンディションを整えなければ高度な測定もできないはずで、自宅の机の上に置いていつでも好きなときに測定というワケにはゆかないでしょうね。まあ個人で所有できるものとして1世代前の格安専用アナライザがいいところでしょう。

高性能シグナルアナライザの凄いところは実際のスペクトルを高いC/Nで表示できるということであって、スプリアスの解析には威力を発揮するでしょうね。10KHz オフセット -120dbcは現時点でのミッドからハイクラスのシグナルアナライザの性能と云えるでしょう。その程度のアナライザが100万以下で手にはいるなら買いでしょうか?

いずれにせよ位相雑音の測定に関してはそれ用のハードを積んだアナライザでなければならず、500万円クラスの汎用アナライザににソフトを載せたくらいでは格安専用アナライザーにさえもかなわないというところでしょうか。