TA-DA9100ES


久々にオーディオらしい話題に戻った気がしますが...WORD CLOCKは別のルビジウムが来てから実験することとして、長期在庫?していたSONY 9100ESを試してみました。

9100ESはiLink Audioがすたれつつある中、iLinkでマルチ・チャネルDSDを受けることができる数少ないAVアンプです。パイオニアの高級機種でも同様にiLinkは残してあるようですが、パイオニアは広帯域のICE方式、対するSONYは狭帯域デジタル方式です。狭帯域というのはDSDの実質の帯域幅とされる約50KHz迄しかレスポンスがないという意味です。

SONYのデジタル方式のアンプはDSDか96/24のマルチチャネルまでの対応を意識して作られていて、根本であるデジタルアンプの周波数上限を拡張しない限りは最新の規格に対応する意味がありません。帯域を100KHzに広げるのは大変なのか?SONYはこれ以上デジタルアンプはやらないという方針のようです。

では広帯域のアナログアンプ搭載の5300と狭帯域デジタルアンプ搭載の9100ではどちらが良い?でしょう。試した方はそうそうおられないと思いますので私のインプレッションを述べますが...結論から申し上げますが、価格差があるので仕方ないですが5300の良いところを見いだすのは難しいと思いました。

5300にはDSD信号をHDMIで送って内蔵DACで再生していますが荒削りなのは否めないようです。広帯域ではあるはずですが中高音にクセがあるように感じられ帯域が広くすっきりしているという印象もありません。

9100にはDSD信号をiLinkで送ってDACを通らずデジタルアンプで再生しています。デジタルアンプ独特の背景の静けさ?が気持ち悪く感じますが透明でなめらかです。惜しいのは伸びやかさが足りずやや抑圧的になるところでしょうか。7000よりはずっと良くあるいは別物と云っても過言ではありませんが完全には解消していないようです。これをさらに熟成したのはTA-DR1aなんでしょうけれど2CHデジタルアンプで100万円超えですから...

テスト時の送り出しにはHDMI; DV-800, iLink; S858 と両方とも普及価格帯のパイオニアのプレイヤーを使っています。同じSA-CDを両方でかけてシステムを丸ごと切り替えて試聴しています。リモコン1個で両方同時に動作するので楽です。

最後に付け加えますが9100は思ったより良かったと思いますし50万円くらいの価値はあるでしょう。しかしながらDR-1からiLinkでつないで9100で再生した場合と、DR1のアナログ出力をLH0032プリで受け普及価格帯のパワーアンプで再生した場合とでは私の耳では明らかに後者が良いと感じます。

デジタルアンプが良いならTA-DR1aを買っておしまいですが私がそうしないのは...お金がないから...でもありますが...別の理由も当然あるということです。あえて云うなら、SONYのデジタルアンプはなぜか音が平面的になってしまって、無音のキャンバスに楽器の音だけが個々に散らばっていて空間が連続していないような...奇妙な聞こえ方になってしまうからでしょうか。デジタルアンプを聞いたことのある人なら理解してもらえるフレーズだと思いますが...いきなりだと何を云いたいんだかって思われますよね。でもそういう音なんですよね...それが残念なところではあります。

あ、蛇足ですが、最近デノンの普及価格帯プリメインが激安で出ているようですが、後継機種にはあまり期待しない方がよさそうなのでお探しの方は1台ゲットしておいてはいかがでしょう。ただしプリ部は決して使ってはいけません(笑)。あくまでもパワーアンプとして使うことが前提です(なので激安じゃないとちょっともったいないのですが)。プリ部の出来が悪いのであまり評価されないアンプかもしれませんがパワー部はそうでもないと思います。