THS4601EVM (THS4031,AD811)

発注していた4601のEVMが届きました。早速動作させてみましたが100Ω負荷でrise 20nSだったので前回と大差ないようです。
S/Rは約78Vでソケットの下駄などは履かしていないので波形は綺麗です。一点でしか評価していませんが高速性ではAD845と互角のようです。リテールの販売価格も大体同じですがAD845は古い設計のICであることもありTHS4601に比べると電圧性ノイズが桁違いに多いようです。

EVMは50Ωで送り出すようになっていてゲインは+2です。50Ωで受けている(100Ω負荷)割にはS/Rが落ちていないようです。
しかしこれだけのパスコンかましてやっと綺麗な波形になるのかと思うと意外に手間のかかるチップかもしれません。
2番と3番ピンは結構いい加減なレイアウトでも問題ないようです。高速広帯域の電流帰還アンプだったら発振しているかもしれませんが。

現時点で中華DACはTHS4601で聴いています。当初手元にあったLME49990が良かったので100個くらい追加で取り寄せようかと思いましたが(普通の値段で購入できるところもあります)参考用としては充分な数をもっているのでやめました。某サイトでのご指摘の通り低音が弱いのと鮮度や空気感がイマイチだからです。もちろん中音の密度感は他のOP-AMPにはない魅力だと思いますが。


THS4031矩形波応答特性 G=+2 RF/RG/RL=1kΩ ±15V
THSシリーズで30Vの耐圧のあるもので残っているのは4031になりますが初段はTrです。4601より高速で割と綺麗な応答特性なのでソケットに乗せて適当に使っても大丈夫な感じもしなくはないですが10KHzの正弦波を再生してみると高い周波数にノイズが乗っていました(恐らく発振ではないかと思いますが大振幅ではない)。あくまでも中華DACに使った際の動作状態で他のセットでは安定に動作することもあり得るとは思いますが4601に差し替えるとこの雑音は消失します。4031の音を聴いてみましたが若干暗めで硬く分解能もあまり良くなかったです(なのでよく調べてみたら雑音あるいは発振が乗っていたということです)。

ということでしたが...素人オーディオは低周波アンプよりも100MHzくらいで超低歪とかそういうアンプの方がそそられますね。10MHzを超える周波数では多くの場合負荷は100Ω(あるいは150Ω)ということになるのでビデオアンプのAD811はもちろんOKですが他のアンプの場合は1KΩで特性を取った場合と比較してひずみ特性が大幅に劣化することもあり得ると思います。あるいは100Ωを負荷する場合は電源電圧をかけてもたとえば10Vppなどの大振幅の信号を(低歪で)取り出すことが難しくなってくるのでよほど電圧利用率の悪いアンプでない限りは±5V程度で充分ということになります。電圧をかければPDが大きくなり単に熱くなるだけです。

ではではおまけですがAD811を±15Vで動作(G=+2)させて100Ωで負荷したときの特性です。

100Ωで負荷してもそこそこの振幅が取れるようで(ただし1MHzの矩形波)さすがビデオアンプですね。電圧を30Vかけているので10Vかけて1kΩで測定した場合より若干riseは速いです(30V/1KΩ負荷では7nS程度)。信号源抵抗を小さくできるAK4497などでは電流性ノイズがさほど問題にならなくなってくるのとこれだけのドライブ力があるので後段のバッファーなどは不要になりそういう点では有用なOP-AMPなのかもしれません。時間のあるときにG=+10か+2のフラットアンプで質感をチェックしてみたいです。
ただいまさらDIPは使いたくないのでPLCCかSOP20かのどちらかになるので他のOP-AMPとの互換性がないところが痛いです。CERDIPなら格好いいかもしれませんがミリタリーグレードになるのでめっちゃ高いです。

SOP8はADのラインナップにはあるみたいですがdigikeyでは生産中止品扱いになっているようですし熱的な問題が大きいので避けた方がいいでしょう。SOP20の半田面をレジスト抜きにしてべったりくつけて使いますか。

ところで前にもちょっと書きましたが素人オーディオは最近2GHzのオシロをよく使っています。6GHzもあるのですがマザーボードのリビジョンが若干古いらしく処理速度が若干遅い(というか若干重いです)ので2GHzで足りるときはそっちを使います。さすがに2GHzのオシロは2GHz付近でばっさり切られているのですがどちらも40GS/Sです。50000シリーズの2.25GHz20GS/Sを使っていたこともありますが帯域はわざと切ってはいないようで2.5GHzまでは伸びていました。ただし解像度がVGAなので今となってはかなり荒く80000シリーズのように綺麗なレポートにはならないです(データーを吸い出して再構成すれば解像度の問題なくなるかもしれませんが)。オシロも解像度はXGAでないと使いづらいように思います。あるいは現時点では垂直は8bitですが広帯域オシロでも12bitの時代が訪れるかもしれません。